分子軌道法計算(T) HMO法

1. ヒュッケル分子軌道法の概要

1.1. 分子軌道法 1)4)

 

 分子の電子状態を理論的に計算する場合に広く用いられている分子軌道法は, 「分子全体に広がった分子軌道(Molecular Orbital)があって,個々の電子の 振舞いが分子軌道関数で記述される」とする方法である。

 Schrödingerの波動方程式は,

        HΨ = EΨ                  (1)

表わされる。ここで,ハミルトニアンHは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの 項の和である。

 2n個の電子を持つ系のハミルトニアンは,

   H = 煤o-h/2m▽ + V(r)} + 這狽/rij       (2)

 となる。最後の項は電子間のクーロン反発エネルギーを表わす。

 多電子系について,(1)式の解析的な解は知られていない。これに対し,電子間 反発をあらわに考慮せず,1個の電子の座標のみで記述できる有効ハミルトニアンの 和で全ハミルトニアンを表せるとすると,解を求める作業はかなり簡単になる。


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