GAMESSの入力データは、計算方法や出力する情報を指定するキーワードと構造データからなります。
Winmostarでホルムアルデヒドのデータを作成して出力した例を次に示します。
$CONTRL ICHARG=0 MULT=1 SCFTYP=RHF RUNTYP=ENERGY COORD=ZMTMPC MAXIT=200 NZVAR=6 $END
$SYSTEM TIMLIM=60 MWORDS=1 $END
$SCF DAMP=.T. $END
$BASIS GBASIS=STO NGAUSS=3 $END
$GUESS GUESS=HUCKEL $END
$DATA
HCHO, energy, STO-3G
C1
O 0 0 0 0 0 0 0 0 0
C 1.205 0 0 0 0 0 1 0 0
H 1.111 0 121.9 0 0 0 2 1 0
H 1.111 0 121.9 0 180 0 2 1 3
$END
各グループは$と$ENDで囲みます。
実行するグループは$の前に半角の空白を置きます。
構造データは$DATAグループに置かれ、コメント、点群、続いて分子構造の順になっています。
分子構造のフォーマットは $CONTRLセクションのCOORDキーワードで指定され、Cartesian座標(直交座標)及びGaussianまたはMOPAC形式のZ-matrixが利用されます。
Winmostarを利用すると、マウスを用いて画面上に構造を描くと、自動的にMOPAC形式のZ-matrixを作成してくれます。
また、構造を自分で作成せずに、公開されている分子構造データを読み込んで利用することもできます。
GAMESSで構造最適化を行う場合は、初期構造によって計算時間が大きく異なるため、GAMESSで計算を実行する前に少なくともMOPACなどであらかじめ構造最適化を行っておく方が良いでしょう。
上の入力データ例の前半部分には、$で始まるグループごとに計算方法や出力する情報を指定するキーワードが記入されています。
Winmostarでは、下に示すような設定画面を表示させ、使用頻度の高いキーワードについては、プルダウンメニューから項目を選んで簡単に指定することができます。また、既存のデータファイルを読み込んで、キーワード部分のみを新しいデータの設定に反映させることもできます。
GAMESSのキーワードのうち使用頻度の高いものについて、以下にその意味と利用方法を簡単に説明します。
ICHARGは系全体の電荷を指定します。
MULTは系全体のスピン多重度を指定します。
SCFTYPは、制限(閉殻系)ならRHF、非制限(開殻系)ならUHF、制限開殻ならROHFを指定します。
RUNTYPは計算目的の指定で、最適化ならOPTIMIZE、シングルポイントエネルギー計算ならENERGY、振動計算ならHESSIANを指定します。
Moller-Plesset摂動法を用いる際はMPLEVLを指定します。
MAXITはSCF計算の繰り返し回数の上限を指定します。
COORDは、$DATA グループに格納する分子構造のフォーマット指定で、Cartesian座標ならばUNIQUE、Gaussian形式の Z-matrixならばZMT 、MOPAC形式の Z-matrixならばZMTMPCと指定します。
EXETYPは実際に計算を行うかどうかの指定で、実際に計算を実行する場合はRUNを、入力データのチェックを行う時はCHECKを指定します。
TIMLIMは計算時間(分)の上限を指定します。 デフォルト: 600
MWORDSは確保するメモリサイズをMW単位で指定します。デフォルト: 1MW (=8MB)
NSTEPは構造最適化の際の探索回数の上限を指定します。 デフォルト: 100
OPTTOLは収束判定の際の閾値を指定します。デフォルト: 1.0D-4 hartree/bohr
HSSENDLは構造最適化後に振動数計算を実行するかを指定します。
DIRSCFはDirect SCF法を用いるか否かを指定します。
GBASISは基底関数の基本セットの選択で、STO、N21、N31、N311、DZVなどが指定できます。
NGAUSSはGaussian関数の数を指定します。
NDFUNCは加えるd-分極関数の数、NPFUNCは加えるp-分極関数の数、DIFFSPはsp-diffuse関数の数、 DIFFSはs-diffuse関数の数を指定します。
GAMESSプログラムに組み込まれてない基底関数系を利用したい場合は、$DATAグループに直接書き込むか、基底関数を記入したファイルを別に用意して読み込ませることになります。基底関数は、例えばGaussian Basis Set Order Formなどから入手することができます。
2009 Copyright by Hiroshi Kihara