GAMESSのキーワードのうち使用頻度の高いものについて、以下にその意味と利用方法を簡単に説明します。
詳しくは、プログラムに同梱されているマニュアルを参照してください。
$CONTRL ICHARG=0 MULT=1 SCFTYP=RHF RUNTYP=
ENERGY COORD=ZMTMPC MAXIT=200 NZVAR=6 $END
$SYSTEM TIMLIM=1 MWORDS=1 $END
$SCF DAMP=.T. $END
$BASIS GBASIS=STO NGAUSS=3 $END
$GUESS GUESS=HUCKEL $END
$DATA
HCHO, energy, STO-3G ; タイトル
C1 ; 対称群 C1の場合は次に空行を入れない
O 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ; 対称群 C1の場合は次に空行を入れない
C 1.205 0 0 0 0 0 1 0 0 ; MOPAC形式のZ-matrix
H 1.111 0 121.9 0 0 0 2 1 0
H 1.111 0 121.9 0 180 0 2 1 3
$END
入力データの前半部分には、$で始まるグループごとに、計算方法や出力する情報を指定するキーワードなどが記入されています。
キーワードの入力は大文字でも小文字でもかまいません。
グループの開始を宣言する $ は、必ず2文字目に記入します。
グループは $END で終了します。(1文字目以外ならどこでもかまいません。)
ICHARG: 系全体の電荷を指定する。
MULT: 系全体のスピン多重度を指定する。
SCFTYP: 制限(閉殻系)ならRHF、非制限(開殻系)ならUHFを指定する。 他に、ROHF, MCSCF, GVB
RUNTYP: 計算目的を指定する。最適化はOPTIMIZE、シングルポイントエネルギー計算はENERGY、振動計算はHESSIAN、IRC計算はIRC、
遷移状態計算はSADPOINTを指定する。
MPLEVL: Möller-Plesset摂動法を用いる。 =2 MP2を使用する。
DFTTYP: 密度汎関数のタイプを指定する。
COORD: $DATA グループに格納する分子構造のフォーマットを指定する。対称性を考慮したCartesian座標ならば
UNIQUE(デフォルト)、Gaussian形式の Z-matrixならばZMT、MOPAC形式の Z-matrixならばZMTMPCと指定する。
EXETYP: 実際に計算を行うかどうかを指定する。計算を実行する場合はRUNを、入力データのチェックを行う時は
はCHECKを指定する。
TIMLIM: 計算時間(分)の上限を指定する。デフォルト 600分
MWORDS: 確保するメモリサイズをMWord単位で指定する。 デフォルト 1
MEMDDI: DDI用のメモリサイズをMWord単位で指定する。
NSTEP: 構造最適化の際の探索回数の上限を指定する。
OPTTOL: 収束判定の際の閾値を指定する。 デフォルト 0.0001 (Hartree/Bohr)
DIRSCF: Direct SCF法を用いるか否かを指定する。
GBASIS: 基底関数の基本セットの選択で、STO、N21、N31、N311、DZVなどが指定できる。
NGAUSS: Gaussian関数の数を指定する。
NPFUNC: 加えるp-分極関数の数を指定する。
NDFUNC: 加えるd-分極関数の数を指定する。
DIFFSP: sp diffuse関数の数を指定する。
DIFFS: s diffuse 関数の数を指定する。
GAMESSプログラムに組み込まれてない基底関数系を利用したい場合は、$DATAグループに直接書き込むか、基底関数を記入したファイルを別に用意して読み込ませることになります。基底関数は、例えばGaussian Basis Set Order Formなどから入手することができます。
GUESS: 最初の分子軌道の係数を求める方法を指定する。 =HUCKEL 拡張ヒュッケル法を用いる(デフォルト) =MOREAD $VEC groupから波動関数を読み込む。NORBの指定が必要
$CONTRLグループのCOORDキーワードで指定した形式で、構造データを記入する。
1行目はタイトル行
2行目 対称群を指定する Cnvの場合の主軸はZ軸、CsやCnhの場合の面はXY平面に取る
上の例では、COORD=ZMTMPCを指定しているため、MOPAC形式のZ-matrixを使用している。