花火の色は、もともとの火薬の色ではなく、花火師が火薬に着色料を細工することでつけられています。

<着色料>

 花火に色を着けるために火薬に混ぜられる物質のことです。炎色反応を利用しています。

   

   


 花火で赤い色を出すのによく使われる着色料は、 硝酸ストロンチウム炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウムシュウ酸ストロンチウム硫酸カルシウムなどです。

 これらが燃焼により、高温で分解または反応して生成した2原子分子 塩化ストロンチウム、塩化カルシウム、 酸化ストロンチウム、 水酸化カルシウムが発光します。

 過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどと、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)の微粉末とを混ぜて高温火炎を作ると、白色に輝きます。

 花火の他に、照明弾や船舶救難信号などに使用されます。

 ナトリウム化合物が使われます。ナトリウム化合物は種類が多く、何でも使えますが、 シュウ酸ナトリウム氷晶石、ウルトラマリンなどが使われます。

 食塩(NaCl)は湿気に弱いので使えません。

 バリウム塩として 硝酸バリウム炭酸バリウムシュウ酸バリウム、などが使われます。

 このときの発光分子は2原子分子であり、505〜535nmの帯スペクトルで緑の色を出します。

 したがって、緑色の光を出すには 塩化バリウムを生成する必要があるため、塩素化合物が一緒に用いられます。

 

 青い炎は、花火では昔から最も難しい色とされてきました。まだきれいな青は成功していません。

   青い炎は銅の化合物によるものが多く、2原子分子 塩化銅の420〜460nmの部分が青の発光として最も良いのですが、これは比較的低温(〜1200℃)で鮮やかであり、高温になると他の部分の光によって青が弱められる欠点があります。

 現在多く使われる物
   硫酸銅炭酸銅孔雀石(塩基性炭酸銅)、Cu粉末
 (酸化剤として 塩素酸カリウムを用いると、湿気のある時は塩素酸銅が生じる恐れがあり、これは爆発しやすいので、 過塩素酸カリウムを使う方がよい。)

 紫の炎は、赤の炭酸ストロンチウムに青の 酸化銅または 孔雀石を混ぜて作られます。

 最近はだんだんきれいな紫の色が出せるようになってきました。

 

花火の化学のページへもどる

炎色反応 | 身の回りの化学

このページの著作権は,木原 寛と今福京子が保有しています。