木炭の燃焼のしくみ

 木炭のおもな成分は、炭素です。木を炭焼竈(かまど)の中で蒸し焼きにして、揮発成分や分解生成物からなる木炭ガスをほとんど発散させてしまったものです。

 新鮮な空気中で燃えると、木炭の表面で炭素の酸化反応がおこり、二酸化炭素が生じます。


 炭火は無炎燃焼(むえんねんしょう)の例です。木炭表面での炭素の酸化反応による発熱によって、燃焼に必要な表面温度を維持し、燃焼を続けていくことができます。
 木炭は多孔質なので、空気が内部に入りやすく、燃焼に有利になります。

 炭火の温度は、線香などの分解ガスによる無炎燃焼の火よりはむしろ高く、特に風を強く送って酸素の供給を十分に行えば、かなり明るい赤熱状態になり1000℃近くにもなります。


 炭火の燃焼は、通常、無炎ですが、ときとして青白色の火炎をともなうことがあります。

 これは、高温の炭の表面で、できた二酸化炭素が炭と反応して一酸化炭素となり、それが燃焼する反応が起きているからです。


 青白い光は、一酸化炭素の燃焼反応に伴う青から紫外への連続光(化学発光)が主で、その他にO2やCO2の帯スペクトル、また水蒸気を含む時はOH帯が重なります。

 また、空気中の酸素濃度が減少してくると、次の反応で一酸化炭素が発生するようになります。


 このように、炭火の燃焼生成物の中には、常に有毒な一酸化炭素がふくまれているので、炭火を使うときには、換気に十分気をつける必要があります。


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